2-8 事実であることの重要性

はじめに

 この世界では、事実であることがよく重視されている。事実か否か、科学的根拠はあるのか否か。すぐに、それって本当なの?正しいの?事実なの?ということが気になってくる。

 ここで、一つ、以下の問いに答えてみていただきたいのです。

Q. Aを信じている人と、Bを信じている人がいるとき、どちらが正しいでしょうか?あなたなりの判断基準があれば、この先を読み進める前に、答えてみてください。

答え

A. この問いは少しずるいです。私の答えはこうです。どちらかが正しいか、どちらも正しいか、どちらも正しくないか。まずどちらも正しい可能性と、どちらも正しくない可能性について、上記の問いは考慮していません。この点がずるいわけです。

 さて、ここから、いわゆる学術的な論じ方だと、いわゆるエビデンスだの、証拠だの、既存の理論だのを持ち出して、2つの説の検証に入るでしょう。

 私の答えはこうです。どちらかが決定的に正しくて、どちらかが決定的に間違っていることというのは、ほとんどあり得ないです。世の中にはいろいろなことを信じている色々な人がいる。そして、自分が正しくて、相手は間違っていると思っている。でも、その人の決めつけが100%曇りなく正しいなんてことは、断言してもいいけれど、ほとんどあり得ないです。そもそも本当に間違っているのなら、だれも1ミリも信じる可能性すらないのではないかと思うからです。別に学術的に答えが出ることで、万人がそれで納得するというのなら、この議論は全く必要ないわけですが、現実世界は複雑な対立構造になっていることが多く、それらを解決する手段はそう簡単にはないのです。

 さて、話を戻して、この問いで言えるたった一つの真実は、Aを信じている人と、Bを信じている人がいるということです。何を当たり前なことを、と思いましたか?私であれば、その真実を重んじます。つまり、Aにはそう信じさせるだけの何かが、Bにもそう信じさせるだけの何かが、存在しているということを意味しているのです。これこそが真実なのです。Aを信じている人にとって、Aは信じるに値しているのです。同じように、Bを信じている人にとって、Bは信じるに値しているのです。これが重んじるべき、尊き真実なのです。それをあなた一人の判断で、本当にどちらかが正しいなんて判断できるのでしょうか?私は、自分にはどちらかに決めつけるだけの器はないと思っています。私は全知全能の神ではない。というか、本当に全知全能の存在がいるとしたら、きっと、どちらかを否定したりしないでしょう。と私は予想します。

問いから思考を発展させる

 この問いについて、もっと掘り下げてみましょうか。正しいことって何でしょう?絶対に揺るがない正解、ですよね。本当にそんなものは存在するのでしょうか?

 みんな、本当のことを求めている。事実を求めている。正しいことを求めている。それがあるということを、完全に信じ切って、疑わない。正しいことは存在するし、それを自分は十分知りえるし、自分はいつも正しいことを信じてきた。みんなそう思いたいのだ。

 私たちに刷り込まれてきたものが、私たちには強く刻まれている。正しいことと間違っていることを、あなたを愛する人たちが、あなたのそばにいた人たちが、あなたに一生懸命教えてきたのだ。あなたが生きやすいように。

 真理は時に残酷だ。あなたの周りの人たちを否定したいわけじゃない。私の周りの人たちを否定したいわけじゃない。彼らの生き方は間違ってなどいない。だけど、本当の真理が、あなたに都合のいいもので、あなたのためになってくれる、あなたの味方をしてくれるとは限らないのだ。

私の真理

 私が思う真理をお伝えします。

 事実なんてない。ただあなたに見える景色が、あなたにとっての事実となるだけで、万人にとっての事実なんて存在しない。と言われても、ピンと来ないかもしれない。

 正しいことなんてない。この世のすべては、紙一重で成り立っていて、正しいことと間違っていることというのも実に紙一重で、立場が違うだけで、正しいことなんて簡単にひっくり返ってしまうものなのだ。もっと言えば、どの立場に立っているかということが、何を正しいと考えているのかという価値判断であるということだ。正しさは価値判断の結果でしかないのだ。それを正しいと考えることにするという意思表示に過ぎないのだ。

 となると、そもそも事実であるか否かにこだわる必要はあるのだろうかということになる。事実なんてないのに?正しいことにこだわる必要はあるだろうか?正しいことなんてないのに?何にこだわるかは、価値判断ということだ。そして価値判断は、あなたがどう生きていたいかという答えそのものだ。

メッセージ

 私の言う真理も、すなわち価値判断ということになる。だから、私の真理が、あなたにとって真理である必要はない。大事なことは、あなたの真理を、あなたが見つけることだ。その努力を始めることだ。前述のように、あなたに都合のいいものがあなたにとっての真理であるとは限らない。今までの人生を真っ向から否定されるようなことになるかもしれない。だけどめげないでほしい。あなたの生き方が180度変わることになろうとも、あなたの真理の人生を歩んでほしいのだ。

 そして、私の真理に少しでも共感してもらえるのなら、他人の考えを否定するのをやめて、考えてみてほしい。この人はなぜ、どうやってその考えに至ったのだろうと。その発想の源泉は何だろうと。この人にとって価値あることは何なのだろうと。

今回の一曲

Take On Fever / OLDCODEX

TVアニメ『警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課 -トクナナ-』オープニング

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